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(無題)

 投稿者:ナナシ  投稿日:2010年 2月15日(月)20時27分31秒
  私の名前は福島あかりといいます。
これは、去年9月のことです。
私には、山岡彩苗という友達がいました。
部活は同じ吹奏楽部です。
その彩苗が、とんでもないことをしていました。
楽器が金管楽器なので、マウスピースという吹き口を洗うのですが、その日、彩苗は
洗った後、トイレにいきました。
何でもないことですが、すこし覗いてみると、彩苗は、顔を触っていました。
すると、先輩の伊藤綾香さんに変装していました。
信じられませんでした。そして、出てきたので、
「何をしてたの?」と聞きました。
すると、
「何で敬語使わないの?」
といいました。
完全になりきっていました。
声もそっくりでした。
 
ケータイで撮った動画を掲示板に投稿

昔々2

 投稿者:2010  投稿日:2010年 1月11日(月)18時14分51秒
  第6回
 背中で1つに縛られた手首はびくとも動かず、足首も縛られ一本の棒のようだった。セーラー服の姿で縛られたままもがいたので、スカートがかなりめくれ上がっていて、黒いスクールストッキングを穿いた由香の脚は(もともとスカート丈は流行のミニ丈だったせいもあり)ほとんど露出をしていた。いくら恥ずかしくても後ろ手に縛られていてはどうすることもできず、自分の体を自由にできないもどかしさと、生まれて初めて猿轡をされた息苦しさと、物を言えない拘束感で由香は少し怒っていた。
 「むううううううっっっっ!!」
 「うふふ、怒った由香も可愛いわ」
 自分で縛り上げた由香の隣に福助は膝を折ってしゃがんだ。彼のミニスカートからこぼれるタイツの脚が由香の目の前にあった。・・うわあ、なんか、福助くん、色っぽいなあ・・再び由香は妙なことで関心をしていた。福助はウォークインクローゼットの扉を閉めた。セーラー服で緊縛され猿轡を噛ませた由香を中に閉じ込めると、彼はベッドの上に腰かけた。目の前の姿見を見て微笑むと、鏡の中から由香が微笑み返した。脚を組んでみた。チェックのミニスカートから伸びるコークブラウンタイツのふとももをむきだしにする。ナイロンが脚を覆う感触を彼は好きだった。立ち上がって全身を映してみる。イミテーションの彼の体型は完璧に森川由香をコピーしている。彼は深い満足を感じていた。さっき森川由美子に化けた時もそうだったが、今度は特に本物の由香を監禁している、そう、由香の人格にすりかわっている感じが彼に新たな興奮を与えていた。薄いラテックスのマスク1枚をかぶっただけで、このように自由に変身できることは驚きだった。もっとも、外見を変えるだけではだめで、仕草やしゃべり方や視線の動かし方など、むしろ、そのような細かい事を模倣する方が大変なのだ。福助は由香や由美子を長い間観察してきて、そのような癖をまねる技術を身につけていた。
 また、由香をいましめる緊縛の感触も新鮮だった。彼女の皮膚に食い込む縄の感触や、柔らかい頬に猿轡のスカーフがきゅっと絞め込む時に由香が一瞬苦悶の表情を浮かべた様を思い出すと、福助は新たな興奮を覚えていた。縄目に抗って呻く幼なじみの由香は、いつも見ている由香とは違った魅力だった。由香を縛って猿轡を嵌めて彼女の自由を奪う事、彼女の服と顔を盗んで彼女に成り済まし彼女の人格を奪う事、この2つの事を福助少年はいともかるがるとやりとげたのだった。少しマンションの中を歩いて、女性の体を作り出している人造パーツを彼の体になじませた。偽物の乳房やウエストニッパー、ヒップパッド、股間のパッド、などを体になじませているので、由香の服は福助にぴったりとフィットしている。パンティストッキングの上に重ね穿きしたタイツも、サポートタイプ特有の絞めつけ感があって、満足できるものだった。この服装と体型と愛くるしい女子中学生の表情の森川由香の中身は、違う性別の男の子が隠されているとは、だれにもわからないずだ。福助は自信をもっていた。
 「それが、例え実の母親でもわからないはずよ」
 彼は由香の声で独り言を言った。その時、インタフォンが鳴った。
 「はーい」
 “由香”が答えた。
  『ああ、由香。帰ってたのね。お母さんよ、鍵あけて』
 由香の母親、さっきまで福助が変装して楽しんでいた魅力的な中年の女性、森川由美子が帰ってきたのだ。“由香”はドアを開けた。
 「お帰りなさい、お母さん」


第7回
 “由香”はドアを開けたて森川由美子、由香の母親を迎え入れた。ごくシンプルなジャケットと膝丈のスカート、トーストブラウンのパンティストッキングのプレーンなスタイルの由美子は、年齢の割には若々しく、福助とはいつも、恋人の母親と言うよりも彼と由美子同士が恋人のような雰囲気だった。リビングに入り由美子と“由香”は会話をした。
 「由香、今日ははやかったわね」
 「うん、そうね」
 “由香”はさりげなく答えた。その会話を、薄い壁をへだてたクローゼットの中で聞いていた由香は思わず舌を巻いた(といっても猿轡の詰め物のせいで実際に舌を巻く事は不可能だったけど)。目の前の“由香”の正体を由美子はまったく疑っていない。正体どころか、彼女/彼の性別すらも疑っていない。自分の娘に変装しても母親も気がつかない、そんなマンガのような変装を福助くんはできるんだ・・あらためて由香は胸の奥がどきどきしてくるのを感じていた。リビングでは由美子と“由香”の会話は続いた。
 「由香、福助くんはどうしたの?」
 「ん?ああ、とっくに帰ったわ」
  『むふうんんっっっ!!!』
 クローゼットの中で由香は小さくうめき声を上げた。・・なによ、人をこんなにしておいて・・
 「あら、今なにか由香の部屋で音がしなかったかしら」
 由美子。
 「私見てくるわ」
 “由香”はリビングから自分の部屋に戻り、本物の由香を閉じ込めてあるウォークインクローゼットを開けた。中にはセーラー服のスカートもあらわになった緊縛姿の由香が転がっていた。もがいたのか、短いスカートはめくれて黒いストッキングの彼女の下半身は完全にむきだしになっていた。
 「うううっっっ・・」
 「いけない娘ね。おとなしくなさい」
 “由香”は優しく囁くと、由香に噛ませた猿轡をきつくしめなおし、軽く彼女の黒いパンティストッキングのお尻を撫でてから、ふたたびリビングに戻った。何もしらない由美子は“由香”に話しかけた。由美子と“由香”はソファに向かい合って座った。だから、由美子のスカートから伸びるトーストブラウンのストッキングをまとった格好の良い脚をかなり奥まで覗く事ができた。・・由香と同じように由美子も縛り上げて監禁して、それから由美子マスクで化けてから由香を助けだすってのは楽しいかなあ、“由美子”に助けられてほっとした由香がリビングに行くと、そこには緊縛猿轡でもがく本物の母親の由美子、驚く由香・・福助は由香マスクの中で想像した。彼は思わずスカートの下でタイツの脚を組んだ。フィーメールボディスーツの威力で、彼が心配するような外見の変化は無いのだけれど。彼は自分の頬が紅潮するのを感じたが、もちろん、由香マスクの顔色が変わることはない。
 「なんだ、福助くん帰っちゃったのか。一緒に食べようと思ってタコ焼き買ってきたのよ」
 「いいわよ、私が全部食べちゃうから。あ、タコ焼きのソースこぼしちゃったよ」
 「もう、由香ったら、洗うお母さんの身になってちょうだいよ。早く着替えてらっしゃい」
 スカートにソースをこぼしてしまった“由香”は、着替えるために自室に戻りクロゼットを開けた。
 「ふむんん・・・」
 猿轡で呻く由香。
 「ふ・ふ、もう少し静かにしててね」
 囁く“由香”。“由香”は由香に笑って目配せすると、違うスカートをハンガーから取り出し、本物の由香の目の前で、平気で着替えをした。着替えをする“由香”の姿、スカートからブラウンタイツの脚を抜いて着替える姿が、また色っぽいことに由香は見とれていた。新しいスカートのジッパーを上げると、パンティストッキングの上に重ねはいたタイツの足首のたるみを直してから彼は部屋を出ていった。


第8回
 「はい、着替えてきたわよ」
 この頃になると、福助はかなりリラックスしてきて、由香のふりをすることを楽しめるようになっていた。ミニスカートの裾を気にしながらブラウンタイツの脚をさばく事が自然と楽しめた。屈託なく言う福助を由美子は疑うこともしなかった。
 「もう、子供じゃないんだから、きちんとしてよ。ああ、それからね、お母さんね、買い物忘れちゃった物があるの。ちょっとそこのコンビニまで行ってくるからね」
 そう言って由美子は部屋を出ていこうとした。
 「あ、お母さん」
 「なあに?」
 「私の顔、今日ちょっとへんじゃないかしら」
 由美子はまじまじと由香(福助)の顔を見つめた。
 「別に。いつもどおり、可愛い由香よ」
 そう言うと由美子は軽く由香の頭を撫でてから玄関を出ていった。それを見送った福助は、玄関のドアが閉まると同時に小さくガッツポーズを取った。いそいで由香の部屋に行く。ウォークインクローゼットを開けるとそこには由香があいかわらず転がっていた。スカーフの猿轡に歯を立てて呻いている。
 「どうだい、由香。お母さん全然気がつかなかったよ」
 「むむむんんんんっっっっ」
 「大成功だね」
 「ふむーむーむむむー」
 「でも、今日は屋内だったからよかったけど、太陽の光の下でも大丈夫かなあ、なあ、由香、どう思う?」
 「むぐううううううっっっ!!」
 「あ、猿轡したまんまだったな。ごめんごめん」
 福助は由香に噛ませた猿轡のスカーフを外して、彼女の口の中のハンカチを引っぱり出した。
 「ふ、ふ、ふくすけえええ!!あんたおかしいわよ!!」
 「まあまあ、怒るなよ。ちょっとしたジョークさ」
 「ジョークでここまでするか、普通?早く縄を解いてよ」
 「なあ、このことはお母さんには内緒だぜ」
 「早く解いて」
 「もう1回猿轡してもいい?」
 「噛みつくわよ」
 「けっこう由香も楽しんだ?」
 「ほ・ど・け・」
 福助は由香の手足の縄を解いた。由香が手首についた縄の跡をさすっている間に、彼はウォークインクローゼットの中で着替えを済ませていた。出てきた福助は、元通りのいつもの福助くんになっていた。その手には由香のライフマスクを持っていた。ぐにゅっとした一見無気味な脱皮した皮に見えるマスク。
 「それを被ってたのね」
 「まあね。こうやって見るとなにがなんだかよくわからないけどね。いつもはスカルプスタンドに被せて保管してるから、しっかりとした顔に見えてるんだ」
 「ちょっと触らせてよ」
 由香はそのマスクに触れてみた。さっきまで福助くんの顔の上で生命を持ってるかのように動いていた自分の顔を模したライフマスク。
 「うわっ、気持ち悪い」
 生暖かい生きているような感触に思わず彼女は手をひっこめた。
 「じゃあな、由香。また明日学校でね」
 「あ、ちょっと待ちなよ、福助くん・・」
 「早く行かないとお母さん帰ってきちゃうとまずいだろ」
 そそくさと彼は玄関を出ていった。残された由香はあまりに予想外の経験に呆然としていた。しかし、客観的に考えるとかなり酷い事をされたにもかかわらず、それほど立腹していない自分が不思議な由香だった。


第9回
 福助くんによる由香監禁?事件のあと、1週間くらいは彼女は彼とは口をきかなかったものの、もともと憎からず思っていた2人は相変わらず仲の良い中学生カップルのままだった。
 「福助くん、あなたの変態趣味どうにかならないの」
 「こればっかりはなあ」
 「あんなことしてなにが楽しいのよ」
 「人を騙していたずらする楽しみっていうかさ、今誰かが由香と思って話しているけど、実は由香じゃないんだよ、ばあっ、てな感じかな。由香だってちょっとは楽しいんだろ」
 「そ、そんなこと・・ないわよ」
 由香は、あんな酷い事をされてどうして自分は不快に思わないのか我ながら不思議だった。季節は暖かくなり新学期もだいぶ過ぎた頃、彼等の学校では生活指導の面談が行われる。早い話が、親子そろって生活指導教諭に怒られる日だ。森川由香の父親は長期出張で不在のため母親の由美子と連れ立って、教室の隅で面談の順番を待っていた。
 「ねえ、由香。生活指導の長谷川ひとみ先生って若くて美人なんだって?」
 「でもね、頭こちこちなの。綺麗なんだけど生徒の間では人気最悪よ。笑った顔を誰も見たことがないの」
 その時ドアが開いて、すらっとしたスタイルの女性教師が入ってきた。白いブラウスにグレーの膝丈スカート、ベージュのストッキング、黒いパンプス、まるで修道院のような地味な服装と、にこりともしない表情は、ミス・石頭の長谷川ひとみだった。その名の通り瞳が美しい女性だったが、性格はどうも・・らしい。
 「えーと、森川由香さんとお母さんの由美子さんですね」
 「はい」
 「由香さんはとてもよくやってますわ」
 「・・え?あ、はあ」
 「私としても同僚に対して自慢できる生徒です」
 このような雰囲気で面談は終わった。叱責をうけなかったのでほっとしながら教室を出ようとした由香に、教師が声をかけた。
 「由香さん。申し訳ないけど、机を元通りに並べるのを手伝ってくれないかしら」
 母親の由美子が言った。
 「じゃあ、お母さん先に帰ってるからね」
 「うん」
 苦手な長谷川先生と2人きりになることに、由香はあまり気が進まなかったがしょうがない。2人で机を運んだ。沈黙。その沈黙を教師が破った。
 「由香さん。あんな感じでよかったでしょ」
 「え?ええ・・あ、痛いっ」
 由香は机の裏の釘頭で指をひっかいてしまった。
 「あら、先生に見せてごらんなさい」
 長谷川ひとみ先生は由香の右中指を手にした。血の球ができている指先をいきなり赤いルージュの唇で包み、その血を嘗めた。
 「あ、あの・・」
 「じっとしてらっしゃい、ほら、これで大丈夫ね。気をつけた方がいいわ」
 突然、長谷川ひとみが由香に顔を近づけた。その大きな瞳を猫のようにまたたかせてにっこりと笑った。さっきまでの石のような無表情とは全然違う。香水のいい香りがする・・と由香が思う間もなく、女教師は由香の頬に軽く手を触れた。
 「あ?あれ?・・先生・・?」
 由香の顔を見てにやにやと笑うだけの女教師は机の上に腰掛けて脚を組んだ。ベージュのストッキングに包まれた格好の良い脚が剥き出しになった。・・うわっ、ひとみ先生色っぽい・・
 「うふふ、私のラテックスボディ、触ってみる?」
 長谷川ひとみが囁いた。・・いや、違う!外見よりもずっと若くて性別さえ違うんだから、こいつは・・
 「また騙したわね!ふくすけ!!」
 

昔々

 投稿者:2010  投稿日:2010年 1月11日(月)18時12分43秒
  ★新連載小説★第1回

 この話を始める前に1つ親愛なる読者の皆様におことわりを申し上げる。
 ここに出てくる主人公の福助くんとは怪人福助と同一人物なのか、あるいはパラレルワールドに住むもう1人の福助なのか。まったく別の人物なのか、はたまたこれを書いている私が福助くんなのか怪人福助なのか、それは皆様のご想像にまかせる。もちろん、福助と言うのは彼の本名ではない。だが、私は彼をずっと福助と呼んでいるので今さらそれ以外の呼び名はむしろよそよそしく感じる。だから、この話の中でも私は彼のことを福助と呼ぶ。ともかく、これは1人の男性とそれにかかわる様々な女性との長い物語である。しばしおつき合い頂きたい。

 桜の花が満開の4月の頃から、この物語は始まる。都内の郊外の幼稚園。いつもは元気にはしゃぐ子供の声が聞こえる園内も今日はちょっと静かな雰囲気が漂っていた。入園式。まだ小さな子供達が親の元を離れて社会生活を始める第一歩の日だった。講堂の後ろにずらっと並んだ母親達の前で緊張ぎみの子供たち。母親から離れる緊張で泣きべその子、顔見知りの友だちとはしゃぐ子、いろんな子達がいる中で、ひときわ瞳を輝かせている女の子がいた。きょろきょろとあたりを見回し彼女は不安と期待でそわそわしながら、隣に座っている大人しそうな男の子に声をかけた。
 「ねえ、こんにちわ」
 「・・・・・・・・」
 「私、もりかわゆか。あなたは?」
 「・・・・・・・・」
 これが森川由香と福助の生涯で最初の会話であった。
 最初は、はにかんでいた福助も、人なつこい性格の由香とほどなく仲よくなり、 マンションがすぐ近くだったせいもあり、1週間もする頃には手をつないで登園するほどの仲良しになっていた。同じ団地内に住む由香と福助は、よくお互いの家に遊びに入った。子供らしく玩具で遊んだりテレビを見たりするのが普通だが、ただ1つ福助少年には他の子供と違う変わった遊びがあった。ある日、突然福助少年は由香にこう言い出した。
 「ねえ、由香ちゃんの服着てみてもいい?」
 なんの事かよくわからないままに、由香は首を縦にうなずいた。福助は由香のタンスを勝手にあけると、彼女の幼稚園の制服を身につけ出した。あっと言う間に、そこには可愛らしい1人の女の子が出現した。由香が1番驚いたのは、そこにはまったく福助とは別人の女の子がいたと言う事、つまり、福助くんが由香の制服を着ていると言うだけではなく、別人格の女の子が突如現われたと言った方がより正しかった。
 「ねえ、由香ちゃん。どう?」
 女の子のように話しかける福助を見て森川由香は、彼のスカート姿にまったく違和感を覚えなかった。福助は由香の女の子の服を着ると、福助少年は由香のお母さん、幼稚園の保母さん、由香のお姉さん(実在はしないが)など、様々な人格を演じる事ができた。しかも、それが非常に上手だった。・・変な子・・?由香は思いながらも福助のままごとごっこが結構上く、福助くん扮する想像上のお姉さんと遊んだりするのが楽しかったので、よくその遊びをしたものだった。
 やがて、彼等は小学校に上がった。小学校に入っても彼等は相変わらず仲良しの幼馴染みだった。そうして相変わらず福助少年の奇妙なままごと遊びは続いていた。それから、公立の中学に2人は進学した。さすがに、その頃になると福助少年のままごと遊びは影をひそめた(と由香は思っていただけだったのが後日判明するのだが)。そんなある日のことだった。
 「ただいまぁ」
 由香はいつものように中学校から帰ってきた。あんなに小さくてくりくりとした可愛い女の子だった由香もすっかり大きくなり、セーラー服に黒いスクールストッキングを穿いた女子中学生になっていた。ときおり、横顔に大人の女性を漂わせる、そんな危ういバランスを見せる年齢になっていた。
 「お帰り」
 母親が出迎えた。いつもの事だった。母親の名前は由美子。森川由美子。年齢はまだ若く39歳になったばかりだ。由香の父親は仕事の関係で海外へ赴任しており、由香と由美子の母娘の2人暮らしだった。白いブラウスにグレーのスカートとベージュのストッキングの普段着の由美子は、やはりいつものように由香をリビングに招いた。
 「さっきまでね、福助くんが来てたわよ」
 「ふーん、なんか今日は授業が終わると一目散で帰ってったけど」
 「なんだったのかしらね、特に用事があるようでもなかったし、由香を待っている風でもなかったわ」
 「もともと変なのよ、あの子」
 由香は言うとセーラー服の制服のままリビングのソファに座った。由美子は、お茶を入れている。
 「ねえ、由香。お茶飲む?」
 「うん」
 由香は、母親の入れてくれたお茶を一口飲んだ。ちょっといつもと違う味がしている。その時、電話が鳴った。由香が受話器を取り上げた。
 「はい、森川です」
  『ああ、由香。お母さんよ』
 「お母さん・・え?おかあさん??」
  『なあに、変な声出して。おかあさんね、駅前まで買い物に来てるのよ。ちょっと遅くなるかもしれないからね。そこに福助くんいるでしょ。遊びに来てたからお留守番頼んじゃったのよ、よろしく言っといてね。じゃあね』
 一方的に電話が切れた。由香は、あっけにとられて受話器を握ったままだった。目の前のソファには、脚を組んで座る由美子がいたからだ。
 「なあに、由香。変な声だして」
 電話のむこうの母親と同じ事を言う目の前の母親の顔を眺める由香。その瞬間、由香の頭の中の回線がカチッと音を立ててはまった。遊びに来ていた福助くん・・小さい頃からのままごとあそび・・由香が言った。
 「もしかして・・あなた・・ふくすけくん・・?」


第2回
 “由美子”は、にやっと笑った。
 「ひょっとして、今の電話は本物のお母さんから?」
 「ねえ、あなたいったい誰?誰なのよ?」
 由美子と同じ顔をした者はソファから立ち上がって、スカートのすそを整えた。笑うと少し鼻筋に皺がよる由美子の独特の表情を浮かべる。
 「意外に早くばれちゃったなあ」
 「その声は・・・やっぱり福助くんなのね!?」
 由美子の赤い唇から流れてくる声は、普段聞き慣れた福助くんの声そのものだった。由美子?福助?ともかくその由美子に見える女性(男性?)は立ち上がると、部屋の中を少し歩き回った。自分のあごに指をあてて悪戯っぽい微笑みを浮かべながら。
 「ねえ、福助くんってば、なんとか言いなさいよ。いったいどうなってるのよ」
 「ほら、そっくりだろ。由香でさえ気がつかなかっただろ」
 福助は言うと、少しおどけてスカートのすそを指で摘んでみせた。ベージュのストッキングをまとった彼の脚は意外と綺麗だった。
 「いったいどう言う事なの?説明してよ」
 「ほら、俺ってさ、昔から変装趣味があったじゃないか。子供の頃はさ、由香の服を着ておままごと遊びをしてりしてね。中学になってから、こっそりと特殊メイクの勉強をしてみたんだ。意外と俺ってその才能あるみたい。でね、せっかくだから、ものは試しに身近な人に変装してみようと思ったんだよ」
 「なんで私のお母さんになってみたの?」
 「女の人になってみたかったんだ。男の俺が女になってみるのって、特殊メイクの腕試しっていうか、まあ、1つの挑戦みたいなもんだね。由香のお母さんなら良く知ってるし、声や特徴や癖もわかっているから。顔だけそっくりになっても駄目なんだよ。仕草や雰囲気を真似る方が大切なんだ」
 「それにしても、その顔はどうしたのよ」
 「初めて作ったにしては上手くできたよ。まさか、由香のお母さんに顔の型取りを頼むわけにもいかないからさ、石膏の顔、モデルを自分で作ったんだよ。時間がかかったんだぜ」
 「それって、マスクみたいなものなの?」
 「そうだよ。レイテックスって言う病院でも使う人工皮膚で作ったんだよ。アメリカのね、バーマンって言う会社が特殊メイクの専門でね、そこから取り寄せたエンジニアリングプラスチックでね・・」
 「もういいわ、わかったわよ。それにしても昔っから変な子だとは思ってたけど、まさかここまで変態的だとは思わなかったわよ。その服はどうしたのよ」
 「おばさんのタンスからちょっと借りただけだよ。けっこう似合うだろ」
 福助は雑誌のモデルのようなポーズでおどけてみせた。白いブラウスにグレーのスカートとベージュのストッキングの服装は、由美子の顔をした福助に実際良く似合っていた。
 「あれ!?ストッキング伝線しちゃったよ。さっきタンスの中の新品をおろしたばかりだったのになあ。おばさんに怒られちゃうよ」
 急に真面目な口調で言う福助の言葉に、おもわず由香は苦笑してしまった。
 「まいったわね。みょうにあせって学校を出ていったと思ったら、こんな事をたくらんでいたなんてね」
 「鞄の中にマスクを用意してね、ここに直行したんだ。由香のお母さんが出かけるって知ってたから、それより前に来る必要があったんだ。で、由香が帰るまで留守番をするって申し出てさ。お母さんが出かけてから大急ぎでマスクをつけて、服を着替えて由香を待ってたってわけさ」
 「いやになっちゃうなあ」
 「なにが?」
 「男のくせに、なんでそんなに色っぽいのよ」
 福助は、由美子の顔でくすっと笑った。
 「いろいろね、努力したのよ」
 福助はスカートの裾をちょっと摘んで、ベージュのパンティストッキングをまとった格好のよい脚を由香に見せて笑った。由香は、母親の仮面をかぶった福助と言う不思議な男の子に、少しどきどきしていた。小さい頃から変装マニアで由香を驚かせていた福助くん。・・このお母さんの中身は福助くんなんだ、ちょっと刺激的かもね・・
 「もう、あきれたわ。脱帽よ。わからなかったわ、本物のお母さんだと思ったわよ。さあ、本物のお母さんが帰ってくる前に元の福助くんに戻っておいてよ。あなたの服はどこ」
 「由香の部屋だよ」
 2人は、由香の部屋に歩いていった。中はいかにも女子中学生の部屋らしく、パステル調の家具で統一されていた。福助はウォークインクローゼットの扉を開けた。由香も見なれた福助のマジソンスクエアガーデンのスポーツバッグがあった。
 「着替えるからさ、むこうを向いててくんないかな」
 「はいはい」
 由香は、福助に背中を向けた。福助が、バッグのジッパーを開ける音がした。なにかをバッグから取り出す音。いきなり由香の腕が押さえられて後ろに捩り上げられた。福助に背中を向けて立っていた由香は、不意をつかれて抵抗できなかった。
 「い、痛いよ、なにすんのよ」
 由香の腕は背中で手首を重ねられてから、なにか縄のような物をくるくるっと巻きつけられた。とんっと背中を軽く押されても、両手を背中で縛られてしまって自由を失い上手くバランスをとれない彼女は、ベッドに転がってしまった。制服のひだスカートから伸びる彼女の脚は黒いスクールストッキングに包まれている。その足首に福助は縄をかけた。足首も1つに縛られて、由香は身動きがとれなくなってしまった。..いったい、なにをする気なのよ、ふくすけ!!・・


第3回
 福助はここまで、かなり満足していた。スポーツバッグの中に由美子のライフマスクを忍ばせ、1日わくわくしながら放課後を待っていた。授業が終了後にいそいて訪れた森川家。小さい頃から何度も遊びに来ている福助くんをまったく疑うことなく森川由美子、由香の母親は彼を招き入れた。
 「今日はなに?福助くん。由香ならまだ帰ってないわよ」
 「あ、ええ、いえ特にこれといって用事は・・」
 まさか、お母さんの顔マスクの実験をやりに来ましたとも言えない福助だった。やがて聞いていた予定通りに由美子は出かけていった、福助に留守番を頼んで。福助は大急ぎで由美子のベッドルームに入った。タンスを開ける。柑橘系の良い香りが漂ってくる。中には由美子の服が詰め込まれていた。異性装趣味も入っている福助はそれだけでかなり楽しくなっていた。バッグをあけるとそこには生首とも思える由美子のライフマスクと、一見ぐにゃぐにゃした気持ち悪いだけの人間の脱皮した抜け殻のようなフィーメールボディタイツが入っていた。彼はその2つを由美子のベッドの上に置いた。続いて、由美子のタンスから彼女の服を取り出して、ベッドに置く。福助は、由美子の服を楽しみながら選んだ。ベッドの1番右に白いブラウス、順番にグレーのスカート、ベージュのサポートストッキング、淡いワインカラーのスリップ、肩のストラップが花柄になっている繊細なブラジャーと、ペアのショーツ。そうしてその横にマスクとボディタイツを並べて置いた。彼は自分の服を脱いで裸になると、1番左に置いてあるフィーメールボディタイツから順番に身につけていった。各所にパッドが入り、女性の体型を人工的につくり出すボディタイツ、由美子の顔を毛穴までそっくりに再現したマスクとウイッグ、ショーツとブラジャーの下着、かなりハードサポートタイプのベージュのパンティストッキング、スカートにブラウス。それらを全て福助は身につけた。
 彼は立ち上がって、全身を鏡に写してみた。もう1人の森川由美子の誕生だ。今の彼の外見は、森川由美子となに1つ違う所はない。ボリュームのある黒いショートヘア、輝くような微笑み、豊かな胸と細く高いウエスト、優雅なカーブのヒップ、すらっと伸びた脚。この森川由美子が15歳の男の子の変装とは自分でも信じられない程だ。少し部屋の中を歩いてみた。スカートのすそさばきもまったく自然にこなせた。フィーメールボディタイツを服の上からさわって、各パーツの位置を微調整した。お尻や胸にはパッドが盛られ、ウエストはきつく締め上げるようにできているボディタイツを身につけると、彼の少年の体型は、39歳の成熟した女性の体型に変わっていた。ドレッサーに座り、由美子のメイクアップ道具を使って最終仕上げをする。アイシャドーやチーク、ルージュをマスクの上から施して、唇にテッシュを咥えティッシュオフをする。彼はベッドに座ると、片足を高く挙げて足首を両手で掴んだ。ベージュのナイロンに包まれた自分の脚を手のひらで撫で下ろす。
 「ふーむ、なかなか良い線いってるわね」
 福助は由美子の声色を出して呟いてみた。特殊メイクの皮を被り、由美子本人の服を着込み、新しい“森川由美子”が完成した。彼はすっかり森川由美子としての準備を終えると、由香の帰りを待った。このようにして、彼のイリュージョンの幕が上がったのだった。そうして彼は由香の手足を縛り上げ、イリュージョンは第2幕に突入した。


★第4回
 セーラー服のまま手足を縛られベッドに座らされた森川由香は、唖然としていた。ベッドに座った勢いでスカートがめくれ上がり黒いスクールストッキングのふとももがあらわになっているけれど、背中で縛られた手首のために自分ではどうにもできない。
 「ちょっと、福助くん、いいかげんにしてよ!縄を解いてよ!!」
 由香の抗議を聞き流して、福助は服を脱ぎ始めた。由美子のブラウス、スカートを脱ぐと、彼は白いミニスリップとベージュのパンストだけの姿になった。首から胸につながる曲線などは、完璧に本物の女性のように滑らかだった。彼は由香のウォークインクローゼットの中からコークブラウンのカラータイツを取り出した。
 「これ、重ね穿きしちゃお」
 福助の地声で言った。腰を屈めて、ベージュのパンストの爪先をタイツに入れる。その姿を見て、由香はどきっとした。母親の由美子の顔に変装したままの彼のスリップから覗く胸の谷間が、ひどくセクシーだったからだ。
 「その胸は、いったいどうやって作ったのよ」
 「これね、顔と同じ合成繊維で作ったボディタイツを全身に着込んでいるのさ。すごく伸縮性があってね、どんな体型にでも変身できるんだ」
 顔と体は由美子なのに声は福助くん・・そのアンバランスな雰囲気に、由香はだんだん胸がどきどきしてくるのを感じた。手足を縛られ動けない初めての経験も、どきどきに拍車をかけていた。彼のベージュのパンストの脚の上をブラウンのナイロンタイツが覆っていく。更に彼は由香のシャツ、トレーナー、チェックのミニスカートを身につけた。女性の体型を作ったボディタイツをまとった福助は由香の服をぴったりと着こなした。
 「さて、これも着替えるかな」
 彼は言うと鞄の中からあるものを取り出し、由香の机の上に置いた。
 「・・・・!!」
 それは、由香の首から上の顔だった。黒い艶やかな髪の毛と愛らしい瞳をもった由香の顔を、福助は手にしていた。由香の顔を完璧に形取った合成樹脂製のマスクだった。彼は机の上に置いた由香の顔マスクと、自分が被っている由美子の顔マスクを触りながら言った。
 「服だけじゃないよ。顔も着替えるんだ」
 彼は言うと、自分の髪をひっぱった。ショートヘアのかつらがとれて、ベージュのナイロンのウイッグキャップを被った頭が現われた。続いてマスクの後頭部のジッパーを緩めた。由美子の顔がぐにゃっと歪み、化粧パックを剥ぐようにして、彼は由美子マスクを剥いだ。その下からは、由香の見慣れた福助くんの顔が現われた。
 「お母さんには、少しの間さよならだな」
 完璧な女性の体型と服装、ミニスカートから伸びるブラウンタイツの脚、そうして男の福助くんの顔・・由香の胸はさらにどきどきしながらも、彼女は文句を言った。
 「・・ねえ、あなたの変装マニアは良く知ってるけど、ちょっとやりすぎじゃないかしら」
 「まあまあ、そこで黙ってみていなよ。黙ってね」
 彼は言うと、由香のセーラー服のリボンを取って中央に結び瘤を作った。彼女のタンスからハンカチを2牧取り出して固く丸めた。
 「ねえ、なにする気?」
 「だから、黙っててもらうのさ。だって、俺が由香でいる間は、本物の由香には静かにしててもらわないとな」
 福助は言うと、由香のほほをぐいっとわし掴みにした。彼は由香の口の中に遠慮なくハンカチを押し込んだ。


第5回
 口腔に大判のハンカチを2枚も詰め込まれた由香は、さらに唇にスカーフをしごき入れられると首の後ろできつく結ばれてしまった。スカーフによってプレッシャーを強められたハンカチのせいで舌も唇も動かせず、由香はなにも喋る事ができなくなってしまった。
  ・・なによ、これじゃあまるでSMショーじゃない、いいかげんにしてよ福助くん・・
 そう言ったものの
 「むううふむんんん、うむぐんんんっっっっ」
 と意味のないうめき声のみが由香の口から漏れていった。そんな由香を無視して福助は“着替え”を続けた。机上の由香マスクの耳を両手で掴むと、左右に引っぱりながら自分の鼻をマスクの鼻部分の裏側に合わせた。そうして、マスクを顔に押しつけていった。合成樹脂のマスクは、接着剤をつかわなくても福助の皮膚にぴったりと張りついていった。肩まで伸びる黒髪のウイッグをかぶりピンで固定した。
 「うん、なかなかのできばえだ」
 そう言ってふり返った福助は“由香”になりかわっていた。・・さっきまでお母さんだった福助くんが、今度は私になっている・・なにか由香の胸の中でうごめくものが生まれた。それを隠すように由香は抗議の声を上げた。
 「うぐぐっ!!むううんんっっっ!!!」
 「まあまあ、怒らないで見てなよ」
 由香に化けた福助は鏡に向かって変装の仕上げをしていた。マスクの端を自分の皮膚になじませるファンデーションを塗り、マスクと皮膚との間の空気を抜き、さらには自分の体を撫でてフィーメールボディタイツの各パーツをそれぞれの場所になじませた。実は福助は、緊縛し猿轡を噛ませたセーラー服の由香の前で由香本人に変装することにかなり興奮していて、彼の男性部分も反応をしていた。しかし、ボディタイツの股間部分の内側にはパッドがうまく盛られて、スカートの股間部分がもっこりするような事はなかった。だから福助の外観は、ミニスカートにブラウンタイツの愛らしい女子中学生の森川由香そものもだった。彼はミニスカートから伸びる自分のブラウンタイツの脚にかなり満足していた。机の上に置いてあった由美子のマスクを手にしてその口を指で動かした。
 「まあ、由香、そのスカートちょっと短すぎないかしら」
 由美子の声で言った。
 「そんな事ないわよ」
 由香の声で答えた。由美子と由香の“会話”でしばらく遊んでから、福助は由美子のマスクを鞄にしまった。
 「さて、お母さんに続いて由香ちゃんにも隠れててもらおうかしら」
 「うぐぐうううううんん・・・」
 福助は由香の体を持ち上げた。作り物であるはずの“由香”のふっくらとした乳房に由香の縛られた腕が押しつけられた。・・うわあ、柔らかい、それに福助くんって意外と力持ちなんだ・・妙なことで感心する由香だった。福助は由香をウォークインクローゼットの中に置いた。
 「そろそろ、お母さんが帰ってくるはずよ。静かにしててね」
 福助はクローゼットを閉めた。薄暗い中で由香はじっとしていた。もちろん、縛られた手足をもがかせて猿轡の下で呻き声を上げることはできた。でも、そうしなかった。福助くんがどんなふうにお母さんをだますのか、薄い壁を通して聞いてみたかったのだ。そう、由香は知らずのうちに福助ワールドにどっぷりと引きずり込まれていた。
 

(無題)

 投稿者:R40  投稿日:2009年11月16日(月)12時36分53秒
  40後半になれば、いい加減他にやることもあるんだろ。  

(無題)

 投稿者:R40  投稿日:2009年11月16日(月)12時36分21秒
  40後半になれば、いい加減他にやることもあるんだろ。  

(無題)

 投稿者:orz  投稿日:2009年11月 1日(日)01時34分30秒
  福助さんの新作からもう五年も経っちゃいましたね。
まだ気長に待ってますよ。
 

(無題)

 投稿者:ななし  投稿日:2009年 8月10日(月)20時37分59秒
  > fdrtki様

おぉっありがとうございます!
あの名作がもう一度読めて、最高に幸せです☆
 

(無題)

 投稿者:fdrtki  投稿日:2009年 6月26日(金)22時02分4秒
  ★★王妃の涙(カメレオン登場) その1★★

 人のものを盗むのは良くないことです。人を騙すのも悪いことです。誰でも知っています。法律でも決まっています。しかし、よくないことをしたくなるのもまた人の常。悪いことをした時の快感もまた格別なものがあります。そんな危ない快楽にどっぷりとつかってしまった男が、この話の主人公です。

 彼の本名は誰も知りません。知らないと言うよりはいくつもあると言いましょう。もしかしたら、戸籍すら複数存在するのかもしれません。むしろ、このあだ名の方が知られているのでしょう。
 人呼んでカメレオン。そう、保護色で自由に体の色を変えるあの爬虫類の名が彼のあだ名なのです。彼の職業は泥棒。ただし、普通の泥棒ではありません。本人いわく怪盗なのだそうです。マジシャンの左手が観客を鮮やかに騙すように、彼の盗みはアートなのだそうです(これも本人いわく)。なぜ、彼のあだ名がカメレオンなのか、それをこれから説明していくとしましょう。

 東京にある某テレビ局。全国ネットの巨大メディアです。そこの報道ニュース番組担当のディレクターのもとに1通のメールが届きました。
「んー、なんだって?発送人は・・カメレオン?誰だそれ?新手のウイルスメールかな?」
 好奇心にかられてディレクター氏はメールを開封しました。すると・・

“拝啓、我輩の名はカメレオン。怪盗である。我輩に盗めない物はこの世にはない。来月、国立ミュージアムで開催されるエジプトの秘宝展で展示される世界最大のサファイヤ『王妃の涙』もその例外ではない。この、世界に類のない宝石を頂戴したく帝都臣民諸君に対してここに予告する。警察に知らせるのも自由、報道するのも自由。しかしなんびとも我輩の犯行を止められはしない。なぜなら我輩の盗みは天才のアートなのだから、凡人の理解するところをはるかに凌駕しているからである。わははははははは”

「・・なんだこれ?ばかばかしい、小学生の悪戯かよ。悪戯にしても最低のセンスだな」
 ディレクター氏はまよわずメールを削除してしまいました。しかし、ディレクター氏も、このメールが単なる悪戯でないことをこの後に知ることになるのです。

 その夜のニュース番組が始まりました。いつものメンバーで番組は進みました。
「今晩は。ニュースシティの時間です」
「今日のニュースは・・」
 男性と女性のアナウンサーがよどみ無くニュースを読み上げます。年配の男性アナウンサーと、若く理知的な女性アナウンサーのコンビです。机の下に覗く女性アナウンサーの短めのスカートとすらっとしたふくらはぎも、このニュース番組の隠れた名物でした。

 滞りなく番組は進むと思われたその時。突然女性アナウンサーが予想外のことを喋りだしました。
「本日、このテレビ局に、怪盗カメレオンを名乗る男から犯行予告のメールが届きました。それによりますと、彼は国立ミュージアムで予定されているエジプトの秘宝展から『王妃の涙』を盗み出すと言っています」
 周囲がざわつきます。こんなニュースはまったく予定に入っていなかったからです。ディレクターも驚きました。さっきのメールは削除したはずなのに、なぜ彼女が知っているのでしょう。女性アナウンサーは冷静な声で続けました。
「まったく大胆な犯行声明ですね」
「あ、ええ・・」
 会話をふられた男性アナウンサーのとまどう表情を楽しげに見つめる女性アナウンサーの笑顔はいつもの爽やかさが消えうせ、どこかいやらしげな微笑みです。彼女は視線を原稿に落とすと、さらに続けました。
「怪盗カメレオンいわく、警察に届けても無駄である、必ず盗んでみせる、とのことです。なぜなら、彼は姿がないのも同然だからです。なぜなら彼は・・」
 そこまで言うと女性アナウンサーは突然机の上に立ちあがりました。ミニタイトスカートの脚をがばっと大きくふんばって立っています。サンタンブラウンのストッキングの脚がまぶしいほどです。机の上に彼女は立っているので、ふとももがかなり奥の方まで見えてしまいます。スカートの下のスリップのレース模様も見え隠れしています。しかし、そんなことは彼女はまったく気にしていないどころか、そんな自分のはしたない格好を楽しんでいるようにも見えました。あわてて止めにはいった男性アナウンサーの顎をパンプスで蹴り上げてしまいました。ばふっ・・という悲鳴を上げて男性アナウンサーが椅子ごと後ろにひっくり返ってしまいました。
「なぜなら彼は、誰にでもどんな人間にでも変装できるからです。わははははは」

 ぼわっと音がしたかと思うと、スタジオじゅうが白い煙につつまれて、その煙が薄れた時には、女性アナウンサーの姿は煙とともに消え去っていました。

 なんだ、なにがあったんだ、彼女はどこに消えたんだ、と怒号が飛びかいます。ディレクター氏も驚きながらも、あのカメレオンと名乗る男の犯行だと確信したのです。誰にでも変装できる?ならばさっきの女性アナウンサーが彼の変装なのか?え?男が彼女に変装?ディレクター氏はテレビ局の建物を封鎖しました。そうして局内をくまなく探したが怪盗は見つからなかったのです。そのかわりに見つかったのは、普段着のまま縛られて小道具室におしこまれた可愛そうな本物の女性アナウンサーでした。
 スカイブルーのセーターに紺のスカート、ブラウンのストッキングの彼女は、銀色のダクトテープでぐるぐるに手足を縛られていました。助けを呼ぼうにも頬がぷっくりと膨らむくらいに口の中に詰め物を押し込まれて唇を覆うように、顔の周りにぐるぐるにダクトテープを巻きつけられてはうめくことすらできなかったのです。
・・廊下を歩いていたら、小道具係さんに呼びとめられて、この部屋に連れてかれて、突然テープで縛られて猿轡をされてしまいました。その後のことはなにがなんだか分かりません・・
 事実はよく分からないものの、ディレクター氏は彼女をタクシーで家に帰しました。


 帰宅した彼女。マンションに一人暮し。玄関を入りまっくらな部屋に明かりをつけます。
「ふう、つかれたわ。今日はいろいろとあったからね」
 そう言う彼女のリビングには椅子に縛られた一人の女性がいました。手足を椅子に縄で縛りつけられ口にはがっちりと猿轡をされているではありませんか。詰め物をされ、噛ませ猿轡をされた後、唇を追おう猿轡を二重に施されているようです。スリップ1枚、ブラウンのパンティストッキング1枚だけの姿で重いソファにがんじがらめに縛りつけられ、指一本動かすことがせいぜいの、その女性は、こんどこそ本物の女性アナウンサーだったのです。
「ふふふ、縛られて閉じ込められた女を偽物と思う者はいないわね。ところで、テレビ見てた?私の演技うまかったでしょ」
「むんっん・・・」
 スカイブルーのセーターに紺のスカート、ブラウンのストッキングの彼女は、女性アナウンサーに化けて犯行を予告したカメレオンだったのです。
 

(無題)

 投稿者:ななし  投稿日:2009年 1月 7日(水)01時12分28秒
  由香の話、懐かしい!

どなたか、カメレオンの話の1話「王妃の涙(カメレオン登場)」を
全文保存している方はいらっしゃいませんか?
ありましたら是非upをお願いしたいのですが……
宜しくお願い致します。
 

(無題)

 投稿者:nice guy  投稿日:2008年10月28日(火)11時18分49秒
  so we have new stories here..........
gonna build a new site?
 

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