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第6回
背中で1つに縛られた手首はびくとも動かず、足首も縛られ一本の棒のようだった。セーラー服の姿で縛られたままもがいたので、スカートがかなりめくれ上がっていて、黒いスクールストッキングを穿いた由香の脚は(もともとスカート丈は流行のミニ丈だったせいもあり)ほとんど露出をしていた。いくら恥ずかしくても後ろ手に縛られていてはどうすることもできず、自分の体を自由にできないもどかしさと、生まれて初めて猿轡をされた息苦しさと、物を言えない拘束感で由香は少し怒っていた。
「むううううううっっっっ!!」
「うふふ、怒った由香も可愛いわ」
自分で縛り上げた由香の隣に福助は膝を折ってしゃがんだ。彼のミニスカートからこぼれるタイツの脚が由香の目の前にあった。・・うわあ、なんか、福助くん、色っぽいなあ・・再び由香は妙なことで関心をしていた。福助はウォークインクローゼットの扉を閉めた。セーラー服で緊縛され猿轡を噛ませた由香を中に閉じ込めると、彼はベッドの上に腰かけた。目の前の姿見を見て微笑むと、鏡の中から由香が微笑み返した。脚を組んでみた。チェックのミニスカートから伸びるコークブラウンタイツのふとももをむきだしにする。ナイロンが脚を覆う感触を彼は好きだった。立ち上がって全身を映してみる。イミテーションの彼の体型は完璧に森川由香をコピーしている。彼は深い満足を感じていた。さっき森川由美子に化けた時もそうだったが、今度は特に本物の由香を監禁している、そう、由香の人格にすりかわっている感じが彼に新たな興奮を与えていた。薄いラテックスのマスク1枚をかぶっただけで、このように自由に変身できることは驚きだった。もっとも、外見を変えるだけではだめで、仕草やしゃべり方や視線の動かし方など、むしろ、そのような細かい事を模倣する方が大変なのだ。福助は由香や由美子を長い間観察してきて、そのような癖をまねる技術を身につけていた。
また、由香をいましめる緊縛の感触も新鮮だった。彼女の皮膚に食い込む縄の感触や、柔らかい頬に猿轡のスカーフがきゅっと絞め込む時に由香が一瞬苦悶の表情を浮かべた様を思い出すと、福助は新たな興奮を覚えていた。縄目に抗って呻く幼なじみの由香は、いつも見ている由香とは違った魅力だった。由香を縛って猿轡を嵌めて彼女の自由を奪う事、彼女の服と顔を盗んで彼女に成り済まし彼女の人格を奪う事、この2つの事を福助少年はいともかるがるとやりとげたのだった。少しマンションの中を歩いて、女性の体を作り出している人造パーツを彼の体になじませた。偽物の乳房やウエストニッパー、ヒップパッド、股間のパッド、などを体になじませているので、由香の服は福助にぴったりとフィットしている。パンティストッキングの上に重ね穿きしたタイツも、サポートタイプ特有の絞めつけ感があって、満足できるものだった。この服装と体型と愛くるしい女子中学生の表情の森川由香の中身は、違う性別の男の子が隠されているとは、だれにもわからないずだ。福助は自信をもっていた。
「それが、例え実の母親でもわからないはずよ」
彼は由香の声で独り言を言った。その時、インタフォンが鳴った。
「はーい」
“由香”が答えた。
『ああ、由香。帰ってたのね。お母さんよ、鍵あけて』
由香の母親、さっきまで福助が変装して楽しんでいた魅力的な中年の女性、森川由美子が帰ってきたのだ。“由香”はドアを開けた。
「お帰りなさい、お母さん」
第7回
“由香”はドアを開けたて森川由美子、由香の母親を迎え入れた。ごくシンプルなジャケットと膝丈のスカート、トーストブラウンのパンティストッキングのプレーンなスタイルの由美子は、年齢の割には若々しく、福助とはいつも、恋人の母親と言うよりも彼と由美子同士が恋人のような雰囲気だった。リビングに入り由美子と“由香”は会話をした。
「由香、今日ははやかったわね」
「うん、そうね」
“由香”はさりげなく答えた。その会話を、薄い壁をへだてたクローゼットの中で聞いていた由香は思わず舌を巻いた(といっても猿轡の詰め物のせいで実際に舌を巻く事は不可能だったけど)。目の前の“由香”の正体を由美子はまったく疑っていない。正体どころか、彼女/彼の性別すらも疑っていない。自分の娘に変装しても母親も気がつかない、そんなマンガのような変装を福助くんはできるんだ・・あらためて由香は胸の奥がどきどきしてくるのを感じていた。リビングでは由美子と“由香”の会話は続いた。
「由香、福助くんはどうしたの?」
「ん?ああ、とっくに帰ったわ」
『むふうんんっっっ!!!』
クローゼットの中で由香は小さくうめき声を上げた。・・なによ、人をこんなにしておいて・・
「あら、今なにか由香の部屋で音がしなかったかしら」
由美子。
「私見てくるわ」
“由香”はリビングから自分の部屋に戻り、本物の由香を閉じ込めてあるウォークインクローゼットを開けた。中にはセーラー服のスカートもあらわになった緊縛姿の由香が転がっていた。もがいたのか、短いスカートはめくれて黒いストッキングの彼女の下半身は完全にむきだしになっていた。
「うううっっっ・・」
「いけない娘ね。おとなしくなさい」
“由香”は優しく囁くと、由香に噛ませた猿轡をきつくしめなおし、軽く彼女の黒いパンティストッキングのお尻を撫でてから、ふたたびリビングに戻った。何もしらない由美子は“由香”に話しかけた。由美子と“由香”はソファに向かい合って座った。だから、由美子のスカートから伸びるトーストブラウンのストッキングをまとった格好の良い脚をかなり奥まで覗く事ができた。・・由香と同じように由美子も縛り上げて監禁して、それから由美子マスクで化けてから由香を助けだすってのは楽しいかなあ、“由美子”に助けられてほっとした由香がリビングに行くと、そこには緊縛猿轡でもがく本物の母親の由美子、驚く由香・・福助は由香マスクの中で想像した。彼は思わずスカートの下でタイツの脚を組んだ。フィーメールボディスーツの威力で、彼が心配するような外見の変化は無いのだけれど。彼は自分の頬が紅潮するのを感じたが、もちろん、由香マスクの顔色が変わることはない。
「なんだ、福助くん帰っちゃったのか。一緒に食べようと思ってタコ焼き買ってきたのよ」
「いいわよ、私が全部食べちゃうから。あ、タコ焼きのソースこぼしちゃったよ」
「もう、由香ったら、洗うお母さんの身になってちょうだいよ。早く着替えてらっしゃい」
スカートにソースをこぼしてしまった“由香”は、着替えるために自室に戻りクロゼットを開けた。
「ふむんん・・・」
猿轡で呻く由香。
「ふ・ふ、もう少し静かにしててね」
囁く“由香”。“由香”は由香に笑って目配せすると、違うスカートをハンガーから取り出し、本物の由香の目の前で、平気で着替えをした。着替えをする“由香”の姿、スカートからブラウンタイツの脚を抜いて着替える姿が、また色っぽいことに由香は見とれていた。新しいスカートのジッパーを上げると、パンティストッキングの上に重ねはいたタイツの足首のたるみを直してから彼は部屋を出ていった。
第8回
「はい、着替えてきたわよ」
この頃になると、福助はかなりリラックスしてきて、由香のふりをすることを楽しめるようになっていた。ミニスカートの裾を気にしながらブラウンタイツの脚をさばく事が自然と楽しめた。屈託なく言う福助を由美子は疑うこともしなかった。
「もう、子供じゃないんだから、きちんとしてよ。ああ、それからね、お母さんね、買い物忘れちゃった物があるの。ちょっとそこのコンビニまで行ってくるからね」
そう言って由美子は部屋を出ていこうとした。
「あ、お母さん」
「なあに?」
「私の顔、今日ちょっとへんじゃないかしら」
由美子はまじまじと由香(福助)の顔を見つめた。
「別に。いつもどおり、可愛い由香よ」
そう言うと由美子は軽く由香の頭を撫でてから玄関を出ていった。それを見送った福助は、玄関のドアが閉まると同時に小さくガッツポーズを取った。いそいで由香の部屋に行く。ウォークインクローゼットを開けるとそこには由香があいかわらず転がっていた。スカーフの猿轡に歯を立てて呻いている。
「どうだい、由香。お母さん全然気がつかなかったよ」
「むむむんんんんっっっっ」
「大成功だね」
「ふむーむーむむむー」
「でも、今日は屋内だったからよかったけど、太陽の光の下でも大丈夫かなあ、なあ、由香、どう思う?」
「むぐううううううっっっ!!」
「あ、猿轡したまんまだったな。ごめんごめん」
福助は由香に噛ませた猿轡のスカーフを外して、彼女の口の中のハンカチを引っぱり出した。
「ふ、ふ、ふくすけえええ!!あんたおかしいわよ!!」
「まあまあ、怒るなよ。ちょっとしたジョークさ」
「ジョークでここまでするか、普通?早く縄を解いてよ」
「なあ、このことはお母さんには内緒だぜ」
「早く解いて」
「もう1回猿轡してもいい?」
「噛みつくわよ」
「けっこう由香も楽しんだ?」
「ほ・ど・け・」
福助は由香の手足の縄を解いた。由香が手首についた縄の跡をさすっている間に、彼はウォークインクローゼットの中で着替えを済ませていた。出てきた福助は、元通りのいつもの福助くんになっていた。その手には由香のライフマスクを持っていた。ぐにゅっとした一見無気味な脱皮した皮に見えるマスク。
「それを被ってたのね」
「まあね。こうやって見るとなにがなんだかよくわからないけどね。いつもはスカルプスタンドに被せて保管してるから、しっかりとした顔に見えてるんだ」
「ちょっと触らせてよ」
由香はそのマスクに触れてみた。さっきまで福助くんの顔の上で生命を持ってるかのように動いていた自分の顔を模したライフマスク。
「うわっ、気持ち悪い」
生暖かい生きているような感触に思わず彼女は手をひっこめた。
「じゃあな、由香。また明日学校でね」
「あ、ちょっと待ちなよ、福助くん・・」
「早く行かないとお母さん帰ってきちゃうとまずいだろ」
そそくさと彼は玄関を出ていった。残された由香はあまりに予想外の経験に呆然としていた。しかし、客観的に考えるとかなり酷い事をされたにもかかわらず、それほど立腹していない自分が不思議な由香だった。
第9回
福助くんによる由香監禁?事件のあと、1週間くらいは彼女は彼とは口をきかなかったものの、もともと憎からず思っていた2人は相変わらず仲の良い中学生カップルのままだった。
「福助くん、あなたの変態趣味どうにかならないの」
「こればっかりはなあ」
「あんなことしてなにが楽しいのよ」
「人を騙していたずらする楽しみっていうかさ、今誰かが由香と思って話しているけど、実は由香じゃないんだよ、ばあっ、てな感じかな。由香だってちょっとは楽しいんだろ」
「そ、そんなこと・・ないわよ」
由香は、あんな酷い事をされてどうして自分は不快に思わないのか我ながら不思議だった。季節は暖かくなり新学期もだいぶ過ぎた頃、彼等の学校では生活指導の面談が行われる。早い話が、親子そろって生活指導教諭に怒られる日だ。森川由香の父親は長期出張で不在のため母親の由美子と連れ立って、教室の隅で面談の順番を待っていた。
「ねえ、由香。生活指導の長谷川ひとみ先生って若くて美人なんだって?」
「でもね、頭こちこちなの。綺麗なんだけど生徒の間では人気最悪よ。笑った顔を誰も見たことがないの」
その時ドアが開いて、すらっとしたスタイルの女性教師が入ってきた。白いブラウスにグレーの膝丈スカート、ベージュのストッキング、黒いパンプス、まるで修道院のような地味な服装と、にこりともしない表情は、ミス・石頭の長谷川ひとみだった。その名の通り瞳が美しい女性だったが、性格はどうも・・らしい。
「えーと、森川由香さんとお母さんの由美子さんですね」
「はい」
「由香さんはとてもよくやってますわ」
「・・え?あ、はあ」
「私としても同僚に対して自慢できる生徒です」
このような雰囲気で面談は終わった。叱責をうけなかったのでほっとしながら教室を出ようとした由香に、教師が声をかけた。
「由香さん。申し訳ないけど、机を元通りに並べるのを手伝ってくれないかしら」
母親の由美子が言った。
「じゃあ、お母さん先に帰ってるからね」
「うん」
苦手な長谷川先生と2人きりになることに、由香はあまり気が進まなかったがしょうがない。2人で机を運んだ。沈黙。その沈黙を教師が破った。
「由香さん。あんな感じでよかったでしょ」
「え?ええ・・あ、痛いっ」
由香は机の裏の釘頭で指をひっかいてしまった。
「あら、先生に見せてごらんなさい」
長谷川ひとみ先生は由香の右中指を手にした。血の球ができている指先をいきなり赤いルージュの唇で包み、その血を嘗めた。
「あ、あの・・」
「じっとしてらっしゃい、ほら、これで大丈夫ね。気をつけた方がいいわ」
突然、長谷川ひとみが由香に顔を近づけた。その大きな瞳を猫のようにまたたかせてにっこりと笑った。さっきまでの石のような無表情とは全然違う。香水のいい香りがする・・と由香が思う間もなく、女教師は由香の頬に軽く手を触れた。
「あ?あれ?・・先生・・?」
由香の顔を見てにやにやと笑うだけの女教師は机の上に腰掛けて脚を組んだ。ベージュのストッキングに包まれた格好の良い脚が剥き出しになった。・・うわっ、ひとみ先生色っぽい・・
「うふふ、私のラテックスボディ、触ってみる?」
長谷川ひとみが囁いた。・・いや、違う!外見よりもずっと若くて性別さえ違うんだから、こいつは・・
「また騙したわね!ふくすけ!!」
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